03 ◇ 日常的な屋上の俯瞰 ◇(この素晴らしい世界)楢﨑古都
03 ◇ 日常的な屋上の俯瞰 ◇|楢﨑古都 @kujiranoutauuta #note #熟成下書き https://t.co/O3QiCn5qQh
— ✿すいすい✿ (@kujiranoutauuta) 2019年12月25日
ユウは散々小突かれ回されながら、屋上へ引っ立てられていった。
受験のない中高一貫校での毎日は、楽な分つまらない。それで、生徒たちは日々の学校生活を楽しくする為の遊びを思いついた。方法は簡単で、適当な標的を選び出し、貶める。たたそれだけだ。
「謝る気があるんだったら、もっと端へ行けよ」
同級生たちに急き立てられて、足をもつらせながらユウは歩かされている。まったく、奴は泣きじゃくるばっかりで、てんで面白味がない。僕はいつだって泣き叫び、許しを請うていたというのに。こんなだらしない奴に自分が虐げられていたのかと思うと、余計に腹が立ち、嫌気がさした。
『やっぱり、いけ好かねえな』
耳元で、がきんちょががわざとらしいため息をつく。
『黙って見てろよ』
僕は振り返りもせず、八つ当たりする。
「スグルはそこから一人で飛び降りたんだぜ。ほら、早く登れよ」
ユウは生徒たちの言いなりで、かけらも反抗しようとしない。屋上のフェンスを自ら乗り越えていき、促されるままへりに立つ。
『一度に二人も世話すんのは御免だぜ』
ふいに、がきんちょがぼやいた。
あいつも自殺する? まさか、そんなのは絶対に許さない。ユウには一生そっち側で見下されつづけてもらわなければ、僕の気持ちが収まらない。
『なんだ、あいつが落ちれば、お前は昇るのか』
がきんちょは僕の心の中まで読めるらしい。それまで、ぐうたらと寝そべった格好で浮かんでいたというのに、勢いよく起き上がると、眼下のユウを骨ばったそれで指差した。
『じゃあ、落とすか』
上目遣いで、不敵な笑みを浮かべて。
『え?』
生徒たちのユウへの煽りが、にわかに高くなった。落ちろ落ちろ、と連呼され手が叩かれる。がきんちょが自慢げに僕の方をふり返った。すると、ユウの視線がおもむろに下方へと流れた。
今週のお題「2020年の抱負」
平日まいにち、過去作UPするよ✒︎