乙女のポリシー
贅沢フレンチ女子会。
ええと、そうね、ちょっとまずったわね。
話さずにすんだら、話さずにいちゃおうかなとかおもっていたのだけれど、はなやかなランチを楽しむだけにして。
つい、冒頭から詳細を話してしまった。もう大丈夫かなー? って、わたしちゃんったら、時期尚早。
ひとの誠実さ。残念なことに、それはひとそれぞれ異なる価値観なのだった。
わたしちゃんは、そのことを知らなかった。
いろいろあって、いまはもうわかるけれど、未だに理解はできない(しょうがないなあ、もう)。
理解できないから、こころはだませても身体は不調まっしぐらなのだ(こまったなあ、まったく)。
だって、心底信じきってしまっていたんだ。
あいしてもらえなくなる日がくるなんて、ゆめにもおもわなかったんだ。おかしいな。おかしいな。おかしいな。あなたのしあわせは、わたしたちのふしあわせ。そんなはずないのに、おかしいなって。
気がついたときには、こわれてしまっていた。
帰り道、坂道をくだりながら、ライトアップされた教会の桜の白々しさに怯えたのは、まあ毎年のことよ、わたしちゃん、夜桜苦手。
そうかぁー、考えないようにしていたんだなあ。
人の手のぬくもりがそこかしこに息づいているシルバニアファミリーみたいな喫茶室で、思い出したり考えたり話していたら、ひと月ぶりに泣きそうになってしまって、ああいけない引きずられるとあわてて思考停止させた。
暮れてゆく街並みが苦手だ。
見知らぬ人々のよく通る話し声もかしましい。
行きに見かけた見渡す限りのチューリップ花壇と寒桜をもう一目見たくて、友だちと別れてからひとり歩いたのだけれど、小雨と薄暮れと肌寒さ。
郷愁をよみがえらせてどうする。
今日はとても楽しかったのだった。
みんないろいろ悩んでいた。
もっと頑張れる気がして、もっと頑張らなくちゃってよくおもう。
でも、わたしたちきっと、それなりに誠実に生きているから、ときどき息抜きしたって悪くないんだよ、とかね。
確認しないと先に進めない不器用さは、まじめ過ぎるのかな、とかね。
咲き乱れた花壇が薄曇りのなか小雨に濡れるのは、なんだかさみしさが増して、人のなかにいるから、ひとりだって気づいてしまうのと似ていた。
時間がないなないなとおもっても、ひとと会う約束を入れておいた方が、隙間時間に集中力を発揮できていいな。