「水に咲く花-07」楢﨑古都
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— ✿すいすい✿ (@kujiranoutauuta) 2020年1月21日
「それじゃあ、二十八日は改札出たところで待ち合わせ。改札はひとつだったよね」
その晩、篠崎くんから電話があって、縁日の待ち合わせ場所を決めた。
「うん」
片桐くんがやって来たことは話さなかった。
「どうしたの、なんか元気なくない?」
「ううん、バイトお昼から夜の遅番までエンドレスだったから、疲れちゃっただけ」
「そっか」
後ろめたさが沸々と胸の内に広がり、所在なくさまよった。つけいっているのは自分なのに、今はそれが逆に怖いと感じた。
携帯電話を押し当てていた方耳が痛くて、それじゃまた、と言いぎわ持ち手を変えた。
じゃあ、縁日で。
話した受話器から、かろうじて遠い声が聞こえた。
布団に入ってからもまだ頭が混乱していて、疲れているはずなのに、朝方まで寝付くことができなかった。
今週のお題「大切な人へ」