夏の終わりの野良にゃんこ
大人になっちまったんだなあと感じるのは、
はああんっ! を覚えた瞬間に、周囲の目を気にせず
カメラを構えられなくなった自分に気づくとき。
むかしは、150%近い乗車率の満員電車内で
かろうじて座席のすみっこを確保し、
余った毛糸で束ねたコピー用紙の裏側に
つたない小説だって書いていた。(それで賞だって獲ったのだぜ)
怖いもの知らずだった、ほんとうに。
わたしはとてもギラギラしていたし。
あれって、まさしく若さゆえ、若気の至り、青臭かった。
永遠の17才だったし。許されていたのだ、なにもかも。
野良ちゃんの写真が撮れたから、
うれしかったなあってだけのはなしなのだ。
出勤ラッシュの時間帯で、目指すビルはほぼほぼみんな同じでさ、
急に立ち止まったりしたら流れを阻害するから、にわか迷惑。
このあいだの土日の大雨で、
部屋のそばの公園脇には松ぼっくりやどんぐりが大量に落ちた。
けれど、日が経つにつれ減っていく。
風に吹かれたり、蹴られたり、登下校中の小学生が持っていったり。
そうして、たぶん来週までにはきれいさっぱり掃ききよめられてしまう。
無数の松の葉もみんな、ビニール袋にぎゅうぎゅうに詰められて、
あとにはアスファルトだけが残ってさ、何もかもすっかりいつもどおりだ。
おやすみ、せかい。
今週のお題「読書の秋」