月夜と花殻
#夏の名残り #花殻 The Remains of the Summer
19年前にも、この月を見たかな。
あの頃、思い描いた将来は、こんなはずじゃなかったのにね。
思い描いた、なんてほどのものでもないか。
ただ、なんとなく、しあわせなはず。
なんとなく。
ねえ、19年後のわたしちゃんはしあわせ?
いまだって、充分しあわせだよ。
ころしあいも、ひんこんも、うえも、やまいもない。
とてもしあわせ。
わたしちゃんは、とてもしあわせ。
あのね、とってもふしぎなんだ。
お月さまは、地球の周りを楕円の軌道で周回しているんだって。
正円ではないのね。
だから、今夜のお月さまはあんなに大きくて明るいの。
ねえ、あの晩も、月はでていたのかな。
いとしいとかなしいは紙一重なんだよ。
ねえ、抱いてみないとわからなかった?
違うよね。
愛(いと)しくて愛(かな)しい。
道ばたの花殻も、今夜はお月さまに照らされているかしら。
おやすみ、花殻朽ちてゆくせかいの月夜。
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【参加します】
第二十一回文学フリマ東京
開催日 2015年11月23日(祝)
サークル《星屑と人魚》
❋ 2015春夏号「星屑と人魚」
ゆりゆりとして艶めかしく
女々しく見せかけて たいそう強かな10編
❋ 2015秋冬号「いばら姫と人魚」
淡々として凶暴
よりそう体温が宿り木の命を蝕んでいく6編
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