ぺたんと女の子座りして🍑
先週末にとどいた、田舎の桃さま。
おばばがまだ生きていたころ、毎年こちらまで遊びに来てくれて、というか、とにかく元気なおばあちゃんだったので、孫たちの夏休みや冬休みを口実に、嫁にいった娘たち二家族の元へ、毎年はしごで2週間あまり遊びにきていた。
おばばは、家を継いだ田舎の従姉妹が乗らなくなった子ども用自転車をこいで、田んぼ道を隣町まで遠出してしまうアクティブさを七十過ぎても兼ねそなえていて、とにかく明るく社交的で、ご近所のおばば友だちからは、いちばん長生きするよって言われていたくらいだった。
でも、おばばは半年入院したのち、あっというまに息をひきとった。
桃の季節は過ぎていて、セイタカアワダチソウが薄水色の空の下、かわきはじめた風に吹かれていた。
妙な郷愁。 その年の夏は、桃を食べなかった。
わたしたちが田舎へ遊びにいくと、おばばは畳に敷いた新聞紙の前へぺたんと女の子座りして、いくつもの桃を大皿にどんどんむいていってくれた。
おばばのしわくちゃで小さな手は、桃の果汁がしたたって、なんだかとてもおいしそうだった。 彼女は、小さなおばあちゃんだった。
もう、おばばのむいてくれた桃は食べられないんだなあと、きょねんもおととしも桃はいただいたのに、いまさらおもいかえすのはなぜなんだろうな。
むかし田舎で食べさせてもらった、あの大皿に果汁したたる桃を、わたしはもう二度と味わえないのだ、大人になってしまったから。
おやすみなさいとさようなら、
愛しいものはいつかなくしてしまうせかい。
今週のお題特別編「はてなブログ フォトコンテスト 2015夏」
夏休み最終日が次回文学フリマの第一稿〆切なのだが(しかも設定したのは自分である)、まったく書ききれていない…… ゆえに、本日は計画的有給休暇です。
文庫で全巻持ってるんだけど……原作挿絵好きすぎるんだよな……欲しい……