「琴子ちゃんの風景-01」楢﨑古都
琴子ちゃんの風景−01|楢﨑古都 #note https://t.co/Rj5bvRBk74
— ✿すいすい✿ (@kujiranoutauuta) 2019年12月14日
わたしのパパには、左腕がない。
わたしとママのは、一応まだあるべき場所にくっついている。
あんまり、深く気にした琴はない。
でもたまに、学校の男の子たちから、パパの腕のことで理不尽なからかい方をされることもある。そんなときは、やっぱりちょっと虫唾が走る。
ほんっと、馬鹿げたおふざけだわって思うけど。
男の子たちにとっては、わたしのパパをからかうことと、女の子のおさげをひっぱったり、スカートをめくったりすることとは、おそらく同程度のことなんだろう。
だから、パパのことで先生がみんなを叱ったりすると、困るのはわたしの方だったりする。順番に、ごめんなさい、なんて列になって並ばれて、返す言葉がなくなってしまう。
だって、パパの左腕はちゃんとそこにあるんだもの。
ちゃんとあるから、ママがいて、わたしがいる。パパの左腕は物質的にはそこにはないかもしれないけれど、そういう空間的存在意義なんて、わたしたち家族のつながりにはまったく関係がない。そう、わたしは信じている。