登場人物、「わたしちゃん」「あなたくん」
冬なので、空が高い。
青が薄くて、日差しはとがっている。
まぶたをとじても、光のつぶてで眼球の表面がじんじん痛む。
平均寿命の3分の1はもう生きた。
あと3分の1のあいだに、この国の平凡はきっと子育てをして、
残った3分の1で悠々自適な余生。
――ナニソレ、恵まれてんね。
楽しかったこととか、うれしかったこととか
あんまり覚えていないんだ
かなしかったり、苦しかったり、
得意の連想ゲームでぜんぶ繋げてしまうから
どうでもいいことばかりたくさん覚えている
ささいなことほど、いつまでも
義理のお母さんが買ってくれたミニサイズのスリッパだとか、
「うれしい」って気持ちをもっと伝えたかった
心につかえて、みんな「かなしい」に変容してしまう
おやすみ、わたしちゃん。
もう、なんにもいらないって言えるくらい
大人になってから「かなしい」を知っていたら、
きっと
いくらでも書いて捨てられた、。
わたしのせかいは、いったいどこまで萎んでいくのか
さよなら、せかい。
――読んだらBOOKOFFに返却しようと思っていたのに、
続編「初恋本屋」がお気に入ってしまい隙間の隙間へ収納されました。
お題その2「今年、買ってよかった物」
(積読文庫&マンガ……100冊いきそう……読メ……)
特別お題「2016年を買い物で振り返ろう」 sponsored by 三菱東京UFJ-VISAデビット