かなしくなったら、魚の気持ち

生まれ変わったら一頭のくじらになりたくて できれば水素原子くらいちいさくなりたくて かなうなら素数のひとつに仲間入りしたくて ひとだからさきおとといのことを後悔します おやすみはにー♭ 【Yoga Alliance US Teacher Training 200 修了(First class)】

ぬるい毒

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#椿 #Camellia #Red

 

おだやかな希死念慮なんてもの、あるんだろうか。
大寒波がくる、そんな予報を聞いて眠った晩、大水の夢をみた。窓の外は川からあふれた水でまるで海原のようにうねっていた。窓をあけて、外の風を浴びようか一瞬だけ迷った。直後、大波が打ちよせて、危うく部屋のなかまで水浸しにしてしまうところだった。大きな流線形が目の前にあらわれて、再び波が窓に打ち寄せた。クジラだ。わたしはその姿に見惚れてしまって、揺れる自宅に多少の不安を抱きながらも、なめらかなスローモーションになって尾びれまでみとどけた。そこでおしまい。
なんだかもういろいろ疲れてしまって、いまの状況に身をまかせて、運悪くまた底なしのかなしいにのみこまれてしまったら、そのときはもう自分をひきとめなくていいやって、気持ちが軽くなった。でも、どういう態度でのぞむのが正解なのかわからないし、底なしのかなしいに陥るのはやっぱり怖いし、しゃべれなくなってしまうから、語られない他人の覚悟はあってないようなものだね。そして、それにおびえるわたしは考えすぎなのだろうけれど、はじめての場所も空間も相手も環境もどれもみんな緊張するから、いつだってわかってよっておもってしまってごめんなさい。
 
そろそろ、おやすみ。
クジラたちのせかいの仲間にわたしもいれて。

 

ぬるい毒 (新潮文庫)

わたしは、よくて二十歳までだとおもっていた。

高校を卒業したら、事故か災害か不治の病、いずれか不幸に見舞われて、わたしは終わるのだとおもっていた。

 

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