せかいの極彩色
#夏の名残り The Remains of the Summer
連休最後の夜、4日ぶりに俗世へ降りたら、あたりがキンモクセイの香りにつつまれていて、昼間のぶり返した夏の日射しを避けてカーテンまでしめきっていたから、ひんやりと湿った気温差とともに置いてきぼり感たるや、うわああああ、となる。
連休明けは雨降りで、すっかり肌寒く、1枚羽織りものをふやして外へ出た。前日の夜、どこで咲いているのかわからなかっただいだい色の密集が、家々の玄関脇や塀越しにのぞいて見え、目隠しのこたえあわせはいともたやすく、拍子抜けしてしまう。
せかいの極彩色について書きすすめることができなくなってしまった原稿を、全ボツしかけて踏みとどまる。そして、かろうじてのプライドを奮い立たせ、いまここにいる。
時間はきっと、足りなくなんかない。足りないのは、わたしちゃんの苦しみだ。
おやすみ、せかいの極彩色はゆめのなかで明滅する。
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【参加します】
第二十一回文学フリマ東京
開催日 2015年11月23日(祝)
サークル《星屑と人魚》
❋ 2015春夏号「星屑と人魚」
ゆりゆりとして艶めかしく
女々しく見せかけて たいそう強かな10編
❋ 2015秋冬号「いばら姫と人魚」
淡々として凶暴
よりそう体温が宿り木の命を蝕んでいく6編
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