沁みる
今朝、目覚めるとくちびるの端が切れてしまっていて、きのうりんごを齧ったときには痛まなかったのに、眠っているあいだにどうかしたんだろうか。
長雨が降りつづいた、ひさしぶりの晴れ間に広がるのは低い位置に雨雲のちぎれた名残り。夏日になるといわれて、それなりに身がまえて部屋を出たのに、風は、日差しとは裏腹にひんやりしていた。
季節のせいだろうか、それとも単なる郷愁か。季節はまた、突然すすんでしまった。日々に、追いつけない。感情は、逆戻りしていく。これじゃあ、なにも変わっていない。1年前と、おなじ痛みがぶり返す。何度、反芻したかわからない。ひとりよがりのかなしいが、ひとたびあふれだせば、もう手に負えない。かなわないのに。わたしはどうして、相も変わらず、とどかないおもいにすがろうとするのか。
もう、くるしいのは嫌だとおもって、かなしいをうっちゃったのに。どうして、痛いんだよ。痛いと、思いだすんだよ、余計に。だからやめてよ。泣いたって、面倒がられるだけなんだから。やめてよ。
おやすみ、せかい。
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第二十一回文学フリマ東京
開催日 2015年11月23日(祝)
サークル《星屑と人魚》
❋ 2015春夏号「星屑と人魚」
ゆりゆりしながら艶めかしく
女々しく見せかけて たいそう強かな10編
❋ 2015秋冬号「いばら姫と人魚」
淡々として凶暴
よりそう体温が宿り木の命を蝕んでいく6編
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トピック「好きなギタリスト」について