排他的境界宇宙
雨降り、ひさしぶりだったねえ。
早朝、白んでゆくせかいが好きで。
日の出前の薄闇にしめった土の匂い、やがてぽつりぽつりとやってきて、
雨足はじょじょにつよくなっていった。
降りしきるなかを、大きめのかさをさして歩いていく。
あたりはすっかり濡れそぼち、息をひそめて物言わず、
のぼり坂はビニィル越しのけぶった視界。
夕焼けは、絶品の飴色と金色、朱色とふじ色、
それから、よせる夜の波。
雨に洗われると言うけれど、雨降りは、わたしたちをとじ込める。
排他的境界宇宙。
それってなにかしら、ふいのことば遊びに過ぎないのだけれど。
ああ、雨降りに閉じこめられたせかいのよう、飴色を見て気づいた。
おやすみなさい、濡れそぼちとじこめられた、わたしのせかい。
今週のお題「雨の日が楽しくなる方法」