かなしくなったら、魚の気持ち

生まれ変わったら一頭のくじらになりたくて できれば水素原子くらいちいさくなりたくて かなうなら素数のひとつに仲間入りしたくて ひとだからさきおとといのことを後悔します おやすみはにー♭ 【Yoga Alliance US Teacher Training 200 修了(First class)】

おやすみ、せかい

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ここ二日、お月さまがくっきり見える。

でもね、まなかは目が見えないの。

見えるけれど、見えないの。

半月よりも少しふくれた、柏餅みたいな楕円のお月さま。

きれいね。

言うと、わかるかい、と手を引かれた。

暗がりに花の香りが充満している。

まなかは外壁へ手のひらを添えて、そこへ枝垂れるジャスミンのしげみをなでながら歩く。

触れると、いっそう香りがわきたつようだ。

やがて、しげみは途切れ、香りも薄れた。

名残惜しいような、けれどもきっとすぐに忘れてしまう日常のつかの間、まなかはつないだ手のひらをぐっと握り返す。

もう着くよ。

まなかは見知らぬ家の見知らぬ敷居をまたぐ。

手をひく男の名前を知らなかった。

大きい人。

まなかは、目が見えないのだよと教えられた。

そうなのかもしれない。

見ているものの確からしさはどれほどのものだろう。

肌寒さに鳥肌が立った。

毛布が手渡される。

おやすみ。

まなかは犬や猫が自分の寝床へ落ち着くために、二度三度回転しながら伏せるように、生地の厚いそれをうまく自分の床へも引き、すっぽりくるまってしまうと、やがて健やかな寝息をたてはじめた。

 

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よるくま

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