つまさきにのせたピンクのいやらしさ 女らしさのかけらもなくて
ふ、ふるえるほどの、ピンク。
思わず手にとり、まじまじと。
見つめてレジへ持ってったよ。
だけどピンクはかんたんに、ぐずぐずとくずれてしまって。
コンビニ菓子パンなのでパリパリサクサクってこともなく。
こんなものよね。もくもくと。
雨足は強くなる。湿気のおかげかそんなにさむくないのね。
くずれたピンクは個包装ビニールの内側にはりついて、
聞きわけのないあたしがここにもいる。
味は変わらないよ、きちんとおいしいよ、ねえ食べて、
最後まで食べて、お願い、捨てないで。
なんて、あたし、ふるえるほどの、おバカさんだから、ピンクだって、うまく、つかえないから、すべては、足りなかった、どうやって、受けとめたら、いいのかな、ごめんねって、お願い、言わないで、言うなら、このはりついたピンクを咀嚼して、そばにいて、あたしは、ちゃんとおいしいって、言ってもらえるように、もうこれ以上、くずれないよ。